さて、花婿の親父として今回一番緊張したのはウエデングでのスピーチだった。
3〜4分でも出来たら、それなりにカッコいい話をしたものじゃないですか。
ましてや息子の晴れ舞台、オヤジのポイントを上げる絶好の機会である。
話す内容はだいたい決まったが、英語で話すと少し感じが違って来るから難しい。
カルチャーの違いでしょうか。
次男相手に練習すると、いくつかの訂正を余儀なくされてしまったが「まあオッケーだ」と言われる。
今日はその時の話しの紹介です。
『ハ〜イ、花婿のダディです。
今日は皆さんお集まり下さいましてありがとうございます。
息子は私達夫婦にとってはミラクル チャイルドでした。
私達は結婚してから2年以上経っても子供に恵まれませんでした(何回かの流産と言う部分は次男により厳しくカット)。
やがて妻が妊娠すると喜びと希望も膨らんで行きました。
しかし、妊娠6か月ぐらいの羊水検査ののち、羊水漏れが起きてしまいました。
横たわる妻のそばで、僕は成すすべがありません。
男はこうした状態だと全く無力です。
夜も眠れなかったので近くの公園に行き、朝まで神に祈りました。
深い祈祷の中で、神様が僕の心に語りかけて来たのが「生まれて来る子に、あなたは何を望むのか?」
声が聞こえて来たと言うより、心に囁いて来たのです。
その時頭に浮かんだのが聖書のソロモン王のストーリーでした。
ソロモンが王になる時に、ソロモンは神様に「民を治める知恵」を求めました。
そこで僕が神様に願ったのは「この子を救って下さるなら、強い信じる心を与えて下さい」と祈りました。
朝が明けると妻の状態が良くなり、やがて無事に出産する事が出来ました。
あれから30年の歳月、息子の人生を見つめて来ましたが、彼は非常に面白い性格を持っています。
人生は良い事も有るし、悪い事もあります。
困難な試練にぶち当たった時、道は2つに分かれます。
ギブアップする道を選ぶか、ネバーギブアップで諦めず乗り越えて行く道を選ぶか。
彼は何度かの困難に直面した時、そのつど「諦めない道」を選び乗り越えてきました。
さほど勉強が得意では無かったはずなのにメカニカル エンジニアの道を選び、猛勉強に苦しんでいた時、彼に質問した事があります。
「何でそこまでしてチャレンジするのか?」と聞くと、息子は「自分の人生に後悔したくないから!」と答えました。
彼はさほど宗教的信仰心があると言うわけではありません。しかし未来を信じ、希望を信じる心を持っています。
困難にぶち当たったっても「ネバーギブアップ」で乗り越える道を信じる心を持ってます。
そしてその道は今、素晴らしい花嫁〇〇さんに繋がりました。
これからの道は1人ではなく2人で歩む道です。
人生には良い時も有るし悪い時もあります。
これから2人が困難に突き当たる時も有るでしょう。
でも、ネバーギブアップで2人で乗り越えて行くなら、その道はきっと大きな幸せと祝福に満たされると思います。
おめでとうございます。』
いや〜短いスピーチだったが役目を終えて気が楽になりました。
英語がうまく通じたかが心配でしたが、しばらくして花嫁の友人らしき女性が駆け寄って来て「自分も2人の小さい子供を持っているが、あなたのスピーチに心から感動した。Thank you !」と言ってくれてホッと一安心。
こんなスピーチを日本でしたら「宗教臭すぎ」と言われるでしょうが、ここアメリカはクシャミ一つに「God Bless you 」言うお国柄です。
ましてやユダヤ的ウエデングに聖書のソロモン王の話はバッチリ合っていたに違いないでしょうと自己満足。
そんなこんなで花婿のオヤジのスピーチは終了して、夕食と奥様のダンスを充分楽しむ事が出来ました。