失業手当の闇
月曜日の夕方、ロサンゼルスからラスベガスにハイウェイを飛ばしていると、古い付き合いの寿司シェフから電話があった。
かなり怒っているようだ。
「田中ちゃ〜ん、チョット聞いてよ〜
コロナで仕事1年休んでいるダチから聞いたんだけどさ〜。
まだコロナ失業手当出ってるんだって!
それも1年で6万ドルだぜ〜!
どうなってるんじゃい。
真面目に働いている俺らがバカみたいじゃん!」
お客さんの中で僕の名前を「ちゃん」付けするのは彼ぐらいのものだが、知らない人が見たらその道の人かと思ってしまうアブナイ風貌の人である。
「あれ、九月で特別失業手当は終わったと思ったけど?」と言うと
「それがさぁ〜就職活動している事を役所にレポートすればまだ金貰えるんだよ」
砂漠のハイウェイ15の夕焼けの中をシェフのグチを聴きながら走った。
そうなのだ、だから我が社でもいっぱい仕事の面接に来るが、面接終われば二度と姿を現さない。
要は失業手当の継続の為のパフォーマンスである。
日々彼らが何しているかと言うと、サッカーやったり映画にパーティーだ。
雇用が無い訳では無い、何処もかしこも人手が足りなくて人材募集の張り紙がしてある。
政府が金をバラ撒く内は働かない訳だ。
本当に困っている人を助ける為の手当なら問題は無いが、こう言うケースはチョット頭に来る。
この前YouTube で「ものづくり太郎チャンネル」でも、今問題になっている「半導体不足」の新たな要因の一つとして取り上げられたのが、アメリカのコンテナ業者が仕事場に帰って来ず、船から下ろせずモノの流通がストックしているとの事だ。
ロス沖のロングビーチ湾には100隻の舟が延々とコンテナの荷下ろしを待っている状況だ。
やれやれである。
「そんな失業手当、すぐ打ち切れよ!」と誰もが思っているのだが、弱い者の味方を標榜するバイデン政権では中間選挙までズルズルお金をバラ撒くだろうな。
ローマ帝国の「パンと見せ物」に溺れる市民を彷彿される。
コロナ禍でも一生懸命働く中間層がバカを見るようではイカンではないか。
さすがにもう特別失業手当は打ち切ると言っているが、人間そう簡単に覚えた蜜の味は忘れられないものである。
大型チェーン店のオーナーが言っていた「今更ノコノコ働きに来ても彼らは雇わないよ、このコロナ禍で大変だった時に働いてくれた従業員の給料を上げた方がいいさ」
そりゃそうだ。
一生懸命働く人がバカを見る世の中であってはいけませんね。