充実した日々
会社から車で5分のタウンセンターに「PERFECT DAYS」を上映していたので、観に行って来ました。
主演の役所広司さんの演技力に感動しました。
カンヌ国際映画祭で「男優賞」を受賞されたのに納得です。
ほとんどセリフは無いのですが、顔の表情やしぐさで言葉以上に心に投げかけてくるものがありました。
映画の内容についてはYouTube などで数多く出ていますので、その辺の事ははぶきます。
こうした映画は観る人によって感じ方、捉え方は様々だと思います。
私がまず印象的に思ったのは東京の下町の情景です。
「あ〜あんなごちゃごちゃした所に7年間も住んでいたんだなぁ〜」「40年ほど前は、あの景色の中の一部だった自分」と思いました。
日本には何度か帰省はしてますが、東京はほぼ素通りなので観光地はともかくとして、下町の市井の人々の情景に懐かしさを感じます。
自分が上京して住んだ四畳半を彷彿されるようなボロアパート、昔と変わらぬ地下の商店、銭湯にコインランドリー。
そんな昭和の時代と変わらぬ世界に、ポツンと何ともデザイン性の高い美しいトイレット。
日本の「おもてなし文化」が凝縮されたような
トイレットなら、今度帰国した時に行ってみたいです。
「東京公衆トイレ巡礼」とでも呼びましょうか。
幸い私が住んでいた渋谷の大学の近くに幾つかあるようですね。
主人公のトイレ掃除の平山さんが、神社で空を見上げて木漏れ日の中で優しい笑顔を浮かべるシーンは印象的です。
「激しい競争社会の中でゆっくり空を見上げた事など有っただろうか?」と思いました。
砂漠の街ラスベガスにいると木漏れ日なる物に、無性に懐かしさを覚えるものです。
平山さんは人生に何かがあって、今は質素な一人暮らし。
はた目から見れば孤独な寂しい生活ですが、本人は喜びを持って自分の人生を幸せに生きています。
そして公衆トイレの掃除に誠心誠意で励みます。
デイリールーティンの中で、忙しい人々には気が付かないであろう人や木々に対する優しさを大切にし、小さな幸せを大事にする生き方に充実した日々を送っていました。
映画を観た次の日は、日曜日なので掃除洗濯の私のサンデールーティン。
何時もより随分と丁寧にまごころ込めて平山さんのようにトイレとバスを掃除しました。
夕食の買い物でバナナを一房買ったのですが、一房8本のバナナのバーコードをセルフ レジでスキャンしたのですが、スキャナーの故障かレシートには1本分しかチャージされて無い。
どう考えても変なのでお店のオバちゃん呼んで確認してもらうと、やはり間違いでした。
You are Honest guy!とびっくりしていました。
私の住んでいるアパートはゲートで守られてはいるが少々危ないエリヤです。
映画の平山さんは箒のはく音で目を覚ましていたが、ここでは銃声やポリスカーの音で目を覚ます事も多々あります。
そんなエリヤのスーパーマーケットでバカ正直な男を不思議な生き物を見たように驚いたんでしょう。
そもそもアメリカではジョージ ワシントンの桜の木の逸話のように正直こそが美徳とされるお国柄です。
帰り際にオバちゃんはThank you ,Have a nice day !
と笑顔で手を振っていました。
そんな事も「PERFECT DAYS」を観た影響でしょうか。
ただ、ただ正直に小さな事に真心を込めて生きる。
自分を偽らず嘘をつかず、優しい心で小さな幸せを大切にする充実した日々(Perfect Days )にしたいですね。
文科大臣の感想が聞いてみたいですね。