砂漠の徒然草のブログ

ネバダで単身赴任、心の泉を求めて彷徨うワタシ。

そこに愛はあるのか!

コーヒーのホロ苦い思い出。

兄から懐かしい絵が送られて来た。

高校の美術部の時に描いた絵だ。



なぜ「鯵のひらきと卵」を題材にしたのか思い出していた。


確か日本で最初の洋画家と言われる高橋由一の「鮭」に魅了されて魚を題材としたような気がする。

かれこれ45年前の事である。



まあ「鯵の開きと卵」は鮭よりは、ずっと手に入れ安い物であった。


この絵がどうした事か、静岡市高校生絵画展で賞を頂きまして、ロータリークラブ主催のホテル ランチに招かれる事となりました。


この事は前にブログしたと思いますが、僕の高校は出来たてのホヤホヤで、僕で二期生。


校長とすれば公の場に高校名が出ることが余程嬉しかったのだろう、校長の車で市内のホテルまで送り迎えしてくれた。


何故か分からないが着いた時は、皆さんもうランチはほぼ終わりかけていて、偉い先生が受賞した絵の評価をして下さる中で僕は洋食に悪戦苦闘。

(多分校長がランチ時間を間違えたのでは)


この前日、校長のピエール ロバート先生はわざわざ僕を校長室に呼んでトロフィーと賞状の受け取り方を特訓してくれた。

高校名が出ているので僕が変な事をしないか心配だったのだろう。

しかし、校長は洋食のテーブル マナーはスルーしていた。


僕も校長もランチに出るのは弁当ぐらいと思っていたのだろう、まさかの洋食のフルコースとは....。


天下の百姓の次男には洋食フルコースは難題である。


皆んなと一緒に食べていれば見様見真似で猿真似出来るが、皆さん食べ終わっていらしゃる。


何事もそうだが最初で躓くと後が大変である。


最初のスープを飲むのに、並んでいるフォークとスプーンの中からコーヒー用の小さなスプーンを使ってしまったのが不味かった。



コーヒースプーンでスープを飲めばズーズー音がします。

静鉄の社長を始め、受賞した学生達の視線を無視しながら食事を進める、


何とかメイン デッシュを終わらせ、ボーイさんがお皿を下げてくれた。


最後はコーヒーである。


何とも口が小さなコーヒーカップだった。

砂糖を入れてかき回そうとするが、残っていたのは大きなスープ用スプーンのみ。


このスプーンはコーヒーカップに入りません。


偉い先生の解説中に顔を真っ赤にしてコーヒーカップとガチャガチャ格闘しているのだから、ますます皆さんの視線がチラチラ此方に向いているとわかった。


双葉と英和女子高の女学生が薄笑いさえ浮かべていた。

ぼくはもはや猿であった。


何を食べたかサッパリ覚えて無いが、あのコーヒーのホロ苦い味はなぜか覚えている。


迎えに来た校長が「どうだった?」と聞いてきたので、「よ、良かったよ」とかろうじて答えた。


兄がその時の絵と貰ったトロフィーの写真を送ってきたので、ほろ苦いコーヒーの味と共に思い出してしまった。



トロフィーと賞状は母の部屋に大切に保管されていたそうだ。


何の取り柄も無かった僕が、賞を貰えたのが余程嬉しかったのかのだろう。


母が施設から病院に移転したので、兄が母の荷物を整理していたら見つけたそうだ。


コーヒーのホロ苦い味と共に、母の愛情に涙した。

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