砂漠の徒然草のブログ

ネバダで単身赴任、心の泉を求めて彷徨うワタシ。

そこに愛はあるのか!

天に聞ゆる。

「死に近き 母に添寝のしんしんと 遠田のかわず 天に聞こゆる。」


斎藤茂吉の歌だ。


母の容態が悪化し、兄弟達が駆けつけたと知らせを受けた。

丁度夕方、飛行機でロスからラスベガスに戻る時だった。



2、3日前は幾らか食欲も増して来たと聞いたので、少し安心していたのだが、90を超えた母の身体は衰弱している。


たとえ場所は海を超えていても、斉藤茂吉の歌のように横たわる母の様子が気になる。


ベガスに着いたら早速帰国に必要な情報を集めたが、日本も感染蔓延化して外国からの入国条件はかなり厳しくなっている。


指定の医療機関での陰性証明書や飛行機は確保出来るのだが、日本に帰ってから公的交通機関を使えないらしい。

飛行機の乗り継ぎも、バスも電車もダメなら、どうやって静岡まで帰れと言うのだろうか。


感染拡大の州によっては隔離される。


2か月前に聞いた時は「タクシーでシラっと近くの駅に降ろしてもらう人もいます」と旅行会社の人が言っていたが、今は空港で係員がスマホにアプリを入れて位置情報と定期的な健康状態確認のチェックが入るそうだ。


違反すると氏名公表と言う荒技を使うと言う。


やれやれ。


ワクチン2回受けたし、陰性証明書を取ったら日本の街を歩く人々より僕の方がリスクが少ないと思うのだが。


何とか感染が抑え込まれて行けば帰省の状況も良くなるのだが、特にこの時期はゴールデンウィークで人出が増えてチョットやばいだろうな。


緊急病院に運び込まれた母に弟が話しかけると「ありがとうね、ありがとうね」とか細くつぶやくと言う。


少し前に僕がZOOMで母と話した時も、施設の人、兄夫婦などケアーしてくれている人達に感謝して「皆んな親切にしてくれるんだよ、ありがとうね、ありがとうね」と繰り返していた。


意識が薄れる中でも、感謝の言葉を繰り返す母はすごいなと思った。


母の「ありがとね」は天に聞ゆる言葉である。

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