砂漠の徒然草のブログ

ネバダで単身赴任、心の泉を求めて彷徨うワタシ。

そこに愛はあるのか!

戸井の本鮪

水曜日の仕事を終え一息ついているが、どうも疲れが取れない。

原因は分かっている。

先週末に休めた気がしないからだ。


先週土曜の午後にホテルのお客様から電話があり「大間の本マグロ」をオーダして欲しいと言われ、急に慌しくなった。

土曜の午後と日曜日は魚屋にとっては唯一リラックス出来る時で有る。

臨戦態勢を解いてユッタリしていた時の青天の霹靂。


何が問題かと言うと超高いマグロは潰しが効かないのだ。

大間本マグロの腹上の相場はキロ3万円ぐらい、12キロで36万。

コレをラスベガスまで運んで来て、ホテルに出すと4800ドルぐらいになる。

ビジネスとしてはチャンスだが、天然マグロは割って見ないと分からないので不安がある。


しかもホテルのシステムが複雑でシェフが欲しいと言っても、ホテルマネージメントが高過ぎると受付けない事もある。


さて日曜日の夕方に豊洲から押さえて貰った本マグロの情報が写真と共に送られて来た。

????


「戸井?大間産を頼んだのに....」


大間の本マグロはブランドなので海外でも広く知られているが、戸井だと分かってもらえるか不安になる。


オーダして来たシェフは日本人では無いのだ。


焦った!


確かに戸井の本マグロは大間に匹敵する最高の品だ。

それはそうだろう青森側の大間の向かいにある北海道側の漁港なので同じ津軽海峡で取れた物だ。


大間の一本釣りに対して延縄漁法だが「戸井活〆」と呼ばれる迅速な後処理により、大間より高値になる事もある逸品だ。


だがそれを如何に理解して頂けるか⁉︎


日曜日から月曜日にかけてヘッドシェフに何度も電話をかけたが電源オフになっている。

そこでGoogle Mapの津軽海峡の写真をテキストで送り、「今日の豊洲の市場推しはコレです!」書いて送った。



火曜日の納品日にホテルのレシービングを無事通過したがまだ安心できない。

昼ごろスーシェフ(二番手)から「大間じゃ無いじゃない!」と電話が来たが、ヘッド シェフには話をしましたと伝えヘッドが来る夕方を待つ。


コロナ禍でただでさえ苦しいのに、こんな高い商品でクレームが出たらオジサンの会社は風前の灯火と化す。

返品でもされたら今月のオジサンの給料無しだろう⁉︎

夜の8時頃になって「最高のマグロです!ありがとうございます」とヘッドシェフからのメッセージが入って、やっと安らかに眠りに着くことが出来た。


そんなスリルと緊張の週末だったのでオジサンの疲れが取れないのである。


まあ津軽海峡で頑張って本マグロを釣り上げている漁師さん達の苦労を思えば、良い寿司さんに少しでも良い値で売るのも魚屋の使命かな。


戸井の本マグロ、味見したかったな〜。

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