冬のコウロギ
今回は飛行機を使ったので週末にLAに帰った疲労はさほど無い。
奥様もオジサンが帰って来ると、料理など色々と頑張ってしまうので、そろそろユックリしているだろうと思って、ベガスに着いてから夜に家に電話した。
しかし、「寝れない、困った」と奥様は言う。
「どうした」と理由を聞くとコオロギが屋根で鳴いてうるさいそうだ。
秋でも無いのに随分と季節ハズレの、すっとぼけたコウロギである。
冬眠に失敗したか、少し暖かくなった鳴きたい気分になったのか分からないが、奥様の睡眠を妨害するとは許し難い。
そもそもコオロギが鳴くのはメスを呼ぶ求愛の歌のはずだが、未だ冬なのに答えてくれるメスはマズいないだろう。
ましてや2階の屋根の上まで上らなければなら労力を求めるだから、随分と変わったコウロギだ。
しかしオジサンはハタと閃いた事があった。
実は今回LAに帰った時に長男にソロソロ結婚を考えるように話をしたのだ。
まだ相手もいないので、具体的にどうこうは無い。
しかしオジサンも奥様もいい年なので息子達の将来を考える訳だ。
そうした話をした後に、家のテッペンでコウロギが求愛の歌を歌っているのである。
縁起が良い事ではないか!
良い意味での「虫の知らせだ」。
奥さんには「縁起が良いから我慢して寝なさい」と伝えた。
次の日の今日「コウロギはまだ鳴いているか?」と尋ねたら、
「今日は寒いから鳴いてない」と言う。
根性の無い奴だ。また冬眠に帰ったのだろう。
「また暖かくなったら我が家の上で『愛の歌』を歌ってくれ」
と思うオジサンでした。
冬だから聞いてくれるメスがいるかは疑問だが.....。
変わったオスがいるのだから、変わったメスもいるかも知れない。
まあ頑張れ。
求愛の 歌もむなしや 冬の虫