営業の鍵
今日は掃除の日。
部屋のみならず冷蔵庫の中まで綺麗にした。
クリスマス、正月と週末はロスで家族と過ごしたので3週間分の年明け大掃除だ。
単身赴任の日曜日は掃除と洗濯と料理で殆ど終わってしまうのだ。
そんな訳で鬼のように掃除していたら電話が掛かって来た。
オフの日は家族以外は電話に出ないようにしていたので迷ったが出た。
ライバル会社のオッサンだ。
しかもかなり酒が入っている。
オッサンの会社もコロナでだいぶまいっているので定年を機に閉めてしまうらしい。
酔っ払いたくなる気持ちもわかる。
そこで顧客を私にお願いすると言うのだ。
酔っ払いの話は途中で遮ってはいけません、1時間ほど相槌を打ちながら聞くはめとなった。
前にオッサンが病気で倒れた時に、見舞いに行ったのが嬉しかったようだ。
業種が違うのでさほどのビジネスにはならないが、有難くお礼を伝えた。
酔っ払いの話しなので、酔いが覚めたら全て忘れている可能性は否めない。
最近こうした事が多い。
あるシェフが前の会社をクビになったが、今回もっと大きなホテルレストランの総責任者になってコンタクトを取って来た。
前のレストランで困っていた時にビジネス抜きでサポートした事を感謝してくれていて、最優先でビジネスを回してくれた。
コロナ禍で会社が厳しい時には本当に有り難い事であす。
経営の神様であるドラッカーは
「マネージメントとは人間の事である」と言っているが営業も人と人との結び付きが鍵だなと思う。
全米の年次総会も近いので色んな営業戦略プランを立てている訳だが、セールスマンの人間性の向上無くしては営業成績も上がらないだろうと思う。
如何に機械化、IT化が進んでも豊かな人間関係が無いと営業は成り立たない。
「リーダーに求められるのは人格である」ともドラッカーは言っている。
そんな事を考えながら掃除機を動かしていると43年前の出来事をフッと思い出した。
アレは学生のアルバイトで新潟でセールスをしていた時だ。
名も知らぬ田舎町で日が暮れて宿屋に戻る道、作業着を着た中年のオッチャンが路地の端の街灯の下で踞っている。
周りは誰も居ない。
酔っ払いのオッチャンが吐いていたのだ。
帰り道を急いでいたのでそのまま通り過ぎようと思ったが、苦しそうだったので足を止めた。
「オッチャン大丈夫ですか?背中さすりましょうか?」と言って暫くさすってあげた。
しばらくすると「お〜兄ちゃんありがとうよ〜」と言ってふらふら何処かへ消えって行った。
宿屋に行く前にラーメン屋があったので夕食に入ると、先程のオッチャンがまた証拠にもなく酒を飲んでいた。
店に入った私の顔を見るや否や「お〜兄ちゃん、兄ちゃんコッチコッチ!」と呼んでいる。
酒臭さを我慢しなから近寄ると周りの仲間達に「この兄ちゃんスゲーいい奴なんだ!俺の事助けてくれたしよ〜、何か売ってる見たいだから皆んな買ってやってくれ!」と言って1万円出して来た。
珍味を売っていたので当時の1万円はかなりの量の販売だ。
すると周りのオッチャンの仲間10人ぐらいも「俺も俺も!」と言って争うように買ってくれた。
田舎のコミュニティは温かいものでラーメン屋の亭主もラーメン奢ってくれたりして歓迎して頂いた。
そのラーメンが美味しかったこと。
後で売上げ数えたら当時としては予想だにしない金額となった。
ビジネスチャンスは路地に踞る酔っ払いのオッチャンにもあるものです。
昔の事ながら営業の楽しさを久々に思い出した。
何の仕事もそうですが感動が無いと長続きしませんね。
そんな訳で掃除が終わったら我が社の販売している麺とスープ、焼豚に地鶏の卵で醤油ラーメン作りました。(最近ラーメン食材に力入れてます)
かなり美味しい出来でした。
最近アメリカはトンコツブームですが、やっぱり昔ながらの鶏がらスープの醤油味が一番合います。
でもヤッパリあの名も知らぬ田舎町の名も知らぬ店のラーメンの方が美味しかったかな。