びわと小鳥
朝を小鳥のさえずりと共に目を覚ますのは幸せな事だ。
オジサンは朝三時に起きて仕事を始めるので、ウイークデイの朝に小鳥のさえずりを聞くことは無い。魚屋とはつくづく因果な商売である。
ただ日曜日の朝だけは例外で、小鳥のさえずりをベットの中で聞く事が出来る。
先週末の日曜日はロスの家でゆっくりと朝を迎え、ベットの中で小鳥たちのチッチッチとさえずる声を聴きながら至福の時を送っていた。
「いや~カワイイ小鳥の歌声だね~」とオジサンが言うと。
「可愛くなんかないわよ!ほんとにもう~!」と奥様が怒っている。
「どうしたどうした?」と聞いてみた。
じつは家の前のびわが、今年も実を実らせたので、
「お~今年も良い出来ではないか⁉」と思いながら近寄って見ると、なんと反対側がキレイに小鳥に食われていたのである。
玄関から見ると完璧なびわの実なのだが、小鳥たちは奥様に気づかれないように反対側だけをガウガウと食べていたのである。
頭の良い鳥だ。ある面これは芸術的とも言える。
それゆえに奥様は小鳥がかわゆくないと言うわけだ。
まだ少しは実が残っているのかを聞いたら、
「今年は諦めた。鳥にあげるわ」と寛容な事をおしゃる。
しかし、鳥たちは「簡単に騙される人間はチョロイゼ~」と思っているかもしれない。
奥様の友人は車で30分ぐらいのパサデナの山の中に住んでいるが、同じようにびわの実が鳥害にあっているそうだ。
実の房に網をかけたそうだが,その網に鳥が足を引っかけて朝死んでいたと言う。
思わずヒッチコックの『鳥』を思い出したのか、網を外してびわの実は鳥に開放したそうだ。
空を飛んでいるモノと戦うのは難しい。何を考えているのか分からないとこも鳥の怖さだ。
このパサデナの山には鹿がいる。畑の作物を早朝食べに来るそうだ。時たま熊もいる。
地下からはモグラ、空からは鳥と作物を守る戦いが繰り広げられる野生の王国となっている。
びわは中国南西が原産地のようだ
日本には古代からびわが伝わっていたようだが、カリフォルニアには何時頃渡ってきたのかは定かではない。
オジサンの家があるモンテリーパークは古くから日系人が住んでいたエリアであったので、もしかしたら日系の移民が一緒に持ってきたのかもしれない。
最近はびわの実や葉っぱに効用があるそうで、そんな健康方が流行ったようだ
来年は小鳥たちに全て食べられることが無い様に、足りない頭を絞って対策を練ってみようと思う。
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