コノハナノサクヤ姫
兄曰く「富士山が見える所に美人なし。」
富士山に祀られているのはコノハナノサクヤ姫という女の神様で、美しい女性を見ると嫉妬してしまうので地元静岡には美人がいないとの事です。
「古事記」によれば、この木花之佐久夜姫は天照大神の孫のニニギノミコトの奥さんで海幸彦と山幸彦のお母さんだ。
美女に嫉妬するとは何ちゅう迷惑な女神なんだ。
しかし、最近はこの静岡にも美人がチラホラ現れる様になった。
オジサンが子供時代は、静岡出身の芸能人と言えば研ナオコさん、ピンクレディなどユニークなタイプはいた。
しかし、最近は長澤まさみ、広瀬アリス、すず姉妹など正統派美人が出現している。
高いビルが増え、空はスモッグが覆うのでコノハナノサクヤ姫の目が届かず、美人が生まれるチャンスが増えたのだろうか。それとも姫の嫉妬が弱まったのか。
ちなみに広瀬姉妹は兄の教え子だそうだ。
実はこの話は昨年帰郷した時にも兄から聞いたのだが、その時は「静岡に美人なし」のコメントと共に「水戸も三大ブスの産地」のコメントも出た。
横で聞いていた地元静岡の兄嫁と、水戸出身のオジサンの奥さんの方から地雷が踏まれた音が聞こえた。
水戸は仙台、名古屋と並びブスが多いと言われている。
むかし常陸(水戸あたり)を治めていた佐竹氏がお国替えで水戸徳川家が入ってくる前に、美人をみんな秋田に連れて行ってしまったとの説明ももらった。
多分オジサンの奥様の先祖は納屋に隠れて難を逃れたのであろう.....。
今回、奥様の実家の水戸に行った時、この件を調査しよう思った。
街行く女性を目で追うのだが、あまり露骨ににジロジロ見ていると「怪しいオジサン」として捕まってしまう。
幸いにも目が細いので、目の焦点が分からないように細い目を流しながら悟られないように調査した。
結論から言うと、美人が増えていた。
「増えていた」と言うのは、むかしは確かにヒドかったのだ。
34年前、奥様の両親に会うため初めて水戸駅から水郡線の田舎電車に乗った。
オジサンの目に映ったのは、セイラー服の女子学生達が電車の床にベターとあぐらをかいて座り、化粧したり駄弁っているのだ。(当時ケイタイはないので)
他の車両にも同じような光景を見てナンジャコリャと思った。
人の美しさは表情のみならず、仕草や姿勢にも現れる。
どんなに綺麗な顔立ちでもブスとしていればブスになるし、ユニークな顔立ちでも笑顔が美しいと感じる時がある。
たまたま見た光景だったかも知れないが他の地域では見なかった姿だ。
「ああ〜コレジャ~水戸がそう言われるのも仕方ない」と思った。
しかし、時代は変わった。
もう水郡線でそんな光景は見る事は無く、女子高生の姿勢や態度にも洗練されて美がある。
街行く女性も綺麗だ。
テレビや雑誌などを見て綺麗になる努力をされているのかもしれないが、美しく生きようと思う人が増えたのかもしれない。
実際、日本全体的に街が綺麗になった気がする。
昔はよく見たタバコやゴミのポイ捨てや、汚れたトイレが無くなっている。
オジサンの様に2年に1回か、1年に1回ぐらいしか日本に来ない者から見ると「日本は美しく生きようと頑張っている」と感じる。
ゴミ箱がなかなか見つからないのは難点だが、「自分のゴミは自分で責任持て」と言うモラルは素晴らしい。
問題発言かもしれないがアメリカの町は人種、生活レベルによって住む地域がハッキリ分かれている。
その地域ごとにモラルの差がハッキリ現れていて、ゴミが無い奇麗な街にしようと努力する地域と、ゴミだらけな地域の違いは、学校教育、家庭教育から来るモラル、意識の違いだ。
日本に来ると「美しく生きよう」とするカルチャーが国内に浸透して、街も人も美しくなって行くのかなと思った。
むかし電車の中で見たモラル不足の女子高生達も、今はこの街々のように美しい生き方をしているのかもしれないと思うと楽しくなる。
コノハナノサクヤ姫も巷の美人に嫉妬しているより、「富士山美化運動」のモラル向上の為に忙しくて、最近静岡に美人が出現する事になったのかもしれない。
世界遺産になったんだから姫も頑張らないとね。